ノベルス・シナリオ業界に関して
小説の顔
皆さんが小説を書く際、何を一番重要視するでしょうか。ストーリーでしょうか、登場人物でしょうか、あるいは風景や心情の描写でしょうか。しかしどんなに優れた小説でも、「読みたい」という感情を読者に持ってもらわないと、何の意味もありません。今回は読者を小説に引き込む導入となる部分、「タイトル」についてお話します。
「タイトル」は言うなれば小説の「顔」となる部分です。読者はタイトルから得られるインスピレーションと冒頭部分をチェックして、自分が求める作風かを判断します。ですからタイトルをつける際は、それが「作風にふさわしい表現」であり、「作品のにおいを感じさせるもの」が理想的で、読者に期待を持たせるタイトルにするのが良いでしょう。
タイトルのパターンは大きく分けて5つ存在します。まずライトノベルでよく見かける「台詞をタイトルに使う」手法。作中の舞台や世界観を表現した「物語の内容をそのまま使う」手法。キャラクターの魅力をより前面に押し出すことができる「主人公の名前を使う」手法。作中のキーワードなどを短くし、意味深な雰囲気を持たせる「イニシャルを使う」手法。“魔法”や“悪”といった言葉を用いた「物語のテーマを感じさせる」手法。
他にも多くのパターンが存在しますが、ここで重要なのが、タイトルは「自由な発想でつけて良い」ということです。他の作品を参考にしすぎて、オリジナリティを損ねることや、作品との差異が生まれてしまうのは好ましくありません。自分の作品がどんな物語であるかは、筆者であるあなた自身が一番よく理解していると思います。それをちゃんと理解していれば、自然とタイトル候補も思い浮かぶことでしょう。
タイトルは読者を導くことができる唯一の存在です。読者の購買意欲を揺さぶるのも、物語を読みたい気持ちにさせるのもタイトルです。その点を踏まえ、皆さんがより充実した創作ができることを、デジタルアーツ東京は期待しています。