アニメ業界おける色彩設計・色指定の仕事とは
アニメーションにとって、色彩設計・色指定の仕事はアニメに命を吹き込む仕事です。アニメ制作にとって彩色は心臓部を担う最も重要なセクションといっても過言ではありません。
「色彩」に関わる仕事は多くの人と話し合い、関わり合いながら仕事を進めていくので、自分の好きな色をつけていくわけではありません。マンガ原作のアニメであれば、原作者や出版社の意向、スポンサー等の方達と話し合いながら、色のイメージを決めていきます。 さまざまな人達と接していく仕事なので、コミュニケーション能力や相手が何を考えているのかを汲み取る力が必要になっていきます。さまざまな話を聞きながら、自分自身の個性も反映させるような色彩をしなければならない点が難しいのです。
アニメーション業界にとって色彩設計・色指定の仕事は、アニメ制作を円滑に進めるブレインのような立ち位置です。そのため、色彩設計・色指定のセクションはアニメ制作のイメージには当てはまらないかもしれません。
色彩設計・色指定に必要なこと
色彩設計・色設定の仕事は、アニメの世界観やキャラクターの心情を深く理解していないとできません。その場面で、キャラクターや世界観が魅力的に見える色使いを常に考えながら決めていきます。
そのため、何となくカッコいいから、何となく雰囲気が良いから彩色をするのではなく、使う色に意味を持たせなければならないのです。個人的ではなく客観的にどのように見えているかを分析しなければなりません。自分自身を表現する場ではなく、アニメーションをいかにおもしろくするかが仕事であるため、個人的な感覚で仕事を進めてはいけません。
色彩設計になるまで
アニメーション制作の彩色の仕事は、一般的にペインターから始まります。色彩設計者が作成した色彩指定表を基に、実際に動いて色を塗っていきます。
ペインターとして経験を積んでいくと、「色指定・検査」にステップアップしていきます。シーン毎に色を指定するこの仕事は、色彩設計者の補佐的な仕事となります。
その後色彩設計者へステップアップし、色に関わる全ての業務を統括するようになります。全ての彩色を監督しなければならないため、全体を俯瞰して把握する力が求められます。それぞれのセクションに適切な指示を施すために、深い知識が必要になっているので、色彩設計者はアニメ制作において、重要な役職として位置づけられています。
まとめ
アニメーション業界において、色彩設計・色指定の仕事はアニメ制作の根幹を担うセクションです。アニメのクオリティを大きく左右する彩色の仕事は、何にも代えがたいものです。
色彩設計者になるまでは、経験を積んでいかなければなりません。そのために、全体を俯瞰して統括する能力を身につけなければなりません。個人的ではなく、客観的にものごとを考えるようにしましょう。