アニメの制作進行になるには
アニメの制作をスムーズに進めるために動く……それが【制作進行】。 アニメ制作の裏側を描いたアニメ『SHIROBAKO』の主人公・宮森あおいの仕事としても注目されましたね。アニメ制作会社には制作進行の求人がよく出されていますが、実際にはどのような仕事を任されるのでしょうか。
実際の収入や労働環境・未経験でも就職できるのかという疑問を解決していきましょう。
アニメの制作進行とは(具体的な仕事)
作品の内容・納期・予算を把握する
制作進行は作品の内容を把握して、放送日までのスケジュールを立てます。納期までにどのように動けばよいのかを考え、シミュレーションします。
そして与えられる予算の中から、外注のアニメーターに何人依頼できるか・制作にいくらかけられるのかを考えます。
アニメーターの確保・発注業務
制作進行は1作品につき数人いて、それぞれ担当する放送話を振り分けられます。自分の担当話が決まったらアニメーターやスタッフに声をかけ、人員を確保。それと同時に設定資料等、発注に必要な資料を集めます。
アニメーターから納品される原画を回収・配達する
外注のアニメーターが描き終わった原画の管理も制作進行の仕事です。各話の原画がどのくらい仕上がっているのか・仕上がっていないカットは何枚か・あとどれくらいで原画を揃えなければいけないのかを常にこまかく把握します。
監督・演出と調整を繰り返し、納品までの追い込み作業をする
アニメーターと監督・演出の橋渡しをスムーズに行うことも役割のひとつ。納品間際でスケジュールが立て込むとトラブルも増えてきます。
そのようなことを避けるために制作進行がスケジュールを管理し、納品日の調整を行います。
納品
作品が完成したら最後は納品するのみ。しかしテレビアニメシリーズの場合は、複数の話が同時進行しているのでやることはたくさんあります。
一話を納品したら、またアニメーターを集めたり原画を回収する作業を始めることになるでしょう。
就職方法について
制作進行として働くためには、アニメ制作会社に就職するのが一般的な方法です。制作会社のサイトにあるリクルートページから問い合わせたり、求人サイトから応募したり就職に繋がる道は多いと言えそうです。
募集をしている会社ごとに指定している応募書類は異なるので、確認してみましょう。
収入について
アニメの制作進行の平均年収は200万円前後~300万円以下が最も多いようです。大手の制作会社だと、初任給は17万円前後。制作進行から制作デスクやプロデューサーにステップアップすると、給与やボーナスが上がっていく仕組みです。
制作進行になりたての時期は、大好きなアニメ制作をしているという気持ちでモチベーションを保つことが重要ですね。
求められる能力とは
その場の空気を読んで自分で対処できるか
アニメの制作進行は様々な人の事情を汲んで、スケジュールを調整しなければいけません。さらに計画を立ててもスムーズに進むことはほとんどなく、トラブルが起こるのも日常茶飯事。
そのトラブルをどのように対処するのかを自分自身で考え、行動に移せる能力は制作進行に必要と言えるでしょう。
コミュニケーション能力
制作進行は人と人を取り持つ仕事です。監督・演出から出た言いにくいリテイクをアニメーターに伝えたり、変更点をスタッフ達に説明したり。スタッフ達も一生懸命に仕事をしているので、監督達に怒りを感じないように言葉を選ばなければいけません。
作品の完成度は、制作進行の伝え方にかかっていると言ってもいいかもしれませんね。
車の運転技術
制作進行は外注・制作会社を行き来する時、必ず車を運転することになります。応募要項に要運転免許と記されていることも多く、日常的に車を運転していると有利になるでしょう。
面接試験等の他に、車の運転実技テストを設けている会社もあります。一方で、バイク便等を利用して専門業者に素材等の回収を依頼する会社も増えています。制作進行が回収をせずに済み、本来の仕事に集中できるように工夫されています。
未経験でも就職できるか?
アニメの制作進行は未経験可のところが多いです。そのため大学や専門学校の卒業生・社会人からアニメ業界にチャレンジする人等、様々な人が就職試験を受けています。
制作進行に必要な能力を持っている人なら、未経験でも採用される可能性は十分あると言えるでしょう。
労働環境について
制作進行の労働環境は、あまり楽なものとは言えません。スケジュール通りに進む時は自分の時間を持つこともできますが、トラブルが発生すると残業・早出をする可能性も出てきます。
モノづくりをする仕事は常にトラブルが発生する可能性がある、ということを理解しておくと現場に入ってから役立つでしょう。
大手と下請け会社の違い
アニメ制作会社の大手と下請け会社には大きな違いがあります。
大手の場合はアニメの企画から制作まで、全話の作品に関わる元請けであることがほとんどです。しかしグロス請けとも呼ばれる下請け会社は、請け負った話数の制作のみを行います。
下請け会社は元請け会社から「◯話の制作をしてください」という依頼を受けて作業をし、完成したものを納品・関わった話数のエンドロールに名前が載るという流れになります。
辞めた場合の進路
アニメ制作進行を辞めた場合、業界から抜けたいのか・制作進行以外を経験したいのかを考えましょう。
もしアニメ業界内で他に興味がある職種があればチャレンジしてみるのも良いと思います。業界で制作進行として現場を経験したというのは強みになります。
またアニメ業界から抜ける場合、なぜ辞めるに至ったかを検討するとよいでしょう。アニメ業界は決して楽とは言えないため、違う道に進む人もいます。
次に進む道では後悔しないために、アニメ業界で経験したことを生かしてくださいね。
まとめ
アニメが好き・制作過程に携わりたい・コミュニケーション能力に自信があるという人は制作進行に向いているかもしれません。
未経験からチャレンジできる職種なので、興味があればぜひ求人に応募してみてはいかがでしょうか。