アニメの脚本家になるには
日本の文化になりつつあるアニメ。作画のこまかさ・動きの滑らかさと一緒に評価を得ているのが、脚本の内容です。最近は子ども向け同様、大人向け作品も人気が高くストーリー性が重視されています。その脚本の内容・セリフを考えているのが、アニメ脚本家と呼ばれる人達です。
ではアニメのストーリーやセリフを考えている脚本家は、どのようにデビューしているのでしょうか? また収入はどれくらい受け取れるのでしょうか?
今回はアニメ脚本家についてご紹介していきます。
アニメの脚本家とは
アニメの脚本家は監督とストーリーの方向性を話し合い、大まかな流れ(プロット)を考えることから始めます。原作がある場合はどこまで内容を添わせるのか・原作とアニメの違いはどこで出すのか等、監督の方針を理解しつつ脚本家自身もアイディアを発案します。
完成したプロットをプロデューサーにチェックしてもらい、OKが出ればストーリー展開・キャラ設定を掘り下げて本格的なシナリオ執筆へ。シナリオ執筆後はプロデューサーと監督のチェックを受け、リテイク・修正を繰り返して決定稿が完成します。
就職・デビュー方法
脚本業界の人脈
アニメ脚本家になるにはまず、脚本家を選ぶ立場の人に自分の存在・実力を知ってもらわなければいけません。
もし脚本業界に知り合いがいるという知人がいれば、紹介してもらうことがデビューへの一歩になるでしょう。紹介してもらう時には、自分が執筆した作品サンプルや連絡先を書いた名刺等を用意しておくと熱意も伝わります。
シナリオコンテストに応募する
シナリオコンテストに応募する方法は脚本家デビューの王道です。アニメ脚本のコンテストだけでなく、デビューのきっかけをつくるのにはドラマや映画・小説・ゲーム等、様々なシナリオコンテストに応募することをおすすめします。受賞できれば業界とコネクションができ、仕事の依頼も来るでしょう。
アニメ制作会社に他職種で入る
アニメ制作会社に制作進行等、脚本家とは違う職種で入社し、監督・プロデューサー・脚本家とコネクションをつくる方法もあります。 制作進行として働いて信頼を得ながら、脚本を書きデビューをめざします。または文芸部がある会社に入社することで他のセクションから脚本家になるのではなく脚本の制作担当になることで、脚本の仕事を間近で学びデビューする方法もあります。実力を認めてもらえれば、脚本家の弟子になれる等、未来が拓けるでしょう。
収入について
30分アニメの報酬は平均して、1本あたり約18~20万円ほど。アニメの脚本はドラマや映画に比べると時間が短く、その分単価も低くなります。
実績によっても収入は変化し、指名されて脚本を書く場合は単価も上がるでしょう。またプロットを受け取って単話で脚本を書く場合と、シリーズ構成として作品に関わるのとでは収入に大きな差がでます。
求められる能力とは
監督・シリーズ構成の意図を掴む
シリーズ構成の立場になるまでは、監督達が決めたプロットに従って脚本を書くことが仕事です。プロットには監督・シリーズ構成のイメージやメッセージが込められているので、うまくその意図を掴めると実力も評価されます。
自然な会話・流れ
キャラクター同士の会話から物語を無理なく進める・見ている人に状況を理解してもらう能力も必要とされるでしょう。
私達の会話の中で突然「ところで~」と会話を変えると不自然に感じます。アニメの中でも同様で、見ている人が物語を自然に受け入れられる流れをつくるには会話を上手に書く能力が求められます。
リテイクにめげない
プロットに沿う・自然な会話を書ける能力は必要ですが、最初から完璧にできる人はいません。監督・シリーズ構成に何度もリテイクを出され、修正して脚本は完成します。
ベテランでもこまかなリテイクは発生しますし、新人であれば修正箇所が多いのは当然でしょう。しかし、せっかく書いた脚本にリテイク指示が出されるとショックを受けます。
ですが、このリテイクを乗り越えることで実力は着実に上がり、周囲からも「めげない」と信頼を得ることにも繋がります。駆け出しの頃は「リテイクにめげず、最後まで書き切る」ことが一番求められる能力かもしれません。
上達方法
「おもしろくない」と感じた作品の構成を考え直す
アニメを見て「おもしろくない」と感じたら、なぜおもしろくないのか・どうすればおもしろくなるのかを考えて書き直してみましょう。 【おもしろくない理由】を考えると、【おもしろくする技術】を磨くことに役立ちます。
最初に見たままの構成を書き出し、そのあとに自分の考える構成に書き直す作業をしてみましょう。
たくさんの作品を見て、それに対する品評を聞き世間のニーズ、今後の傾向に敏感になることが必要です。偏らずたくさんのものに興味を持ち、深めてください。
短いシナリオを書いてみる
ストーリーを考えるとつい無駄な場面を加えて長くしてしまいがちです。しかし「原稿用紙20枚まで!」等、制限をつけると「このシーンは必要か?」等の取捨選択ができるようになり、まとまりのある話を書けるようになります。
アニメは特に放送できる尺が決まっているので、短い時間の中でメッセージを伝える能力の上達に役立つでしょう。
脚本解説書を読む
物語の構成やアイディア発想法を知りたい・脚本を実際に書いて疑問点が出てきたという時には、脚本解説書を読んでみましょう。
作品を見ている人の心理が解説してあったり、名作を生み出している脚本家の意見が書かれていたりするので新しい考え方を取り入れることができます。
まとめ
アニメ脚本家は特別な能力を持っている人だけがなれるイメージですが、努力・行動次第で道が拓けます。
自分に合った脚本上達法をみつけて、必要な能力を高めていきましょう!